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道化師とお小言【オルガ番外編】

俯瞰と仰望の道化師

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※スパ無。

 道化師の落日にて、早世のはずだったクラウン。その彼の為に書きかけていた文章抜粋ですので、お嫌な方は飛ばしてくだいませ(^^;
 何故、救命措置しておいて敢えてのUPかと申しますと
 どうしても、クラウンに会わせてあげたい人がいて。。。

 いつか誰にでも訪れるそれ。

 ですので、抜粋部分はクラウンが喜寿であろうが米寿であろうが白寿であろうが、どこでもハマる部分だけ抜き取っております。

 本当に!
 読み飛ばしてくださって結構です!
 すいません! 
 作者の身勝手です!

 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~






「・・・・・・本当に、よく頑張りました。お疲れ様。お疲れ様で、ございました・・・。おやすみなさいませ。どうか、ゆっくりと・・・」



「・・・・・・そう。彼は余にとっても・・・、いや、我が国民にとっても、大恩ある方故ね、国を挙げて・・・」
「温情深きお言葉、痛み入りまする、陛下。そのお言葉に甘えさせて頂けますならば、どうか、祭りを」
「祭り?」
「・・・はい。先代は、何より人々に笑って欲しい気質にございました。ですから、どうか、皆、笑って。歌って。踊って。賑やかに」



「うふん。さすがは愛しい息子。お父様のこと、よく分かっているねぇ」
 見下ろすそこは、たいそうなお祭り騒ぎで。
 そこかしこで掻き鳴らされる音楽。
 それは秀麗なコンサートホールでもないので決して調和などないのに、喧騒でもなく。
「おーーーい!! 聞こえてるかぁ!?」
 そんな声が、聞こえる。
「はぁい、聞こえているよぉ」
 王都からも。フォスター領からも。ローランド領からも。
 それ以外の、あちこちからも。
「ありがとう! ありがとうなぁ!」
 こちらこそ。こちらこそ、ありがとう。
「・・・アーサーや」
 あまりにあちこちから声が聞こえるから、最初はその声がその中のものかと思った。
「アーサー。愛しい息子や。本当に、よく頑張ったね」
「~~~」
「坊っちゃま。爺やはとても驚いておりましたぞ。ほんに、嬉しゅうてなりませなんだ」
「~~~~~~。父上ぇ、爺やぁ・・・」
 恐る恐る振り返ったクラウンの眼前に、その記憶のままの父と爺や。
 彼らの生前に散々見せてきたお得意の作り笑顔から、ぼろぼろ。ぼろぼろ。ぼろぼろ。
 涙が溢れて止まらない。
「あ。あれ? あれぇ?」
 こんなもの、容易く御し得る術を身につけてきたのに。
 どうしてだか、止まらない。
「あ・・・。そっかぁ」
 クラウンは父と爺やの手を掴み、眺めていた眼下を指差した。
「ご覧下さい! あれが、僕の息子です! とても自慢の、可愛くて愛しくて仕方のない、僕の息子です!」
 どうして涙が止まらないのか、ひどく簡単なことだった。
 この涙は、父や爺やに見せてしまって悲しませるものではなかっただけのこと。
 むしろ。
 見て欲しかった嬉し涙。
「ね。立派な息子でございましょう? 僕の息子があんなにも立派にフォスター家を支え、領民どころか国民すら守ってくれているのです!」
 父に。そして爺やに。
 見せたくて仕方なかった、いや、自慢したくて仕方なかった、愛しい息子。
 彼らの孫。
「・・・・・・うん。アーサーや。私の大事な道化師(クラウン)や。ずっと見ていたよ」
「この天から? ふふー。ならば、お話する必要はございませんね。あの子は・・・」
 きゅっと背後から抱きしめられて、クラウンは小さく震えた。
 懐かしい。
 懐かしい。
 父の温もり。
 懐かしい。
 懐かしい。
 それを見つめる爺やの目。
「ずーっとね。ずーっと見ていたよ。アーサー。お前が頑張っている姿を」
 今度こそ。
 今度こそ。
 溢れ始めた自分の為の涙。
「私の愛しい息子や。可愛いアーサー・ジュニアや。必死だったね。いっぱい苦しかったのに、それでももっといっぱい頑張って、フォスター領どころか、ローランド公爵領の民まで笑顔でいっぱいにしたね」
「~~~」
 ふと気付くと、抱き寄せられている自分の手に、妙に張りがある。
 いつの間にか、父を見送った十八歳の姿。
「・・・あ。ありゃりゃ?」
「こ~ら。無理してふざけなくて良いの」
 父が吐息混じりに苦笑を浮かべた。 
「・・・やれやれ。スコールドにはいとも容易く道化師の仮面を外してくれるくせに。なぁ、爺や?」
 まるで子供のように不貞腐れる父の表情を初めて目の当たりにし、クラウンは目をパチクリとさせた。
「坊ちゃま、左様にございますよ。ここからあなた様とスフォールドを見守られる旦那様のヤキモチに、爺やはたいそう手を焼きましてございます」
「お前ね、そんな言い方はないのではないかね?」
 少々ツンとしてそっぽを向き、苦笑を浮かべる爺やの顔も、初めて。
「・・・・・・父上。ご覧下さい。私の自慢の愛しいアーシャを」
 どうしよう。
 満面の笑顔で。
 愛しい息子を。
 愛しい父に。
 自慢したいのに。
「あの子、一見そうは見えぬのに、大層なヤキモチ妬きなのですよ? 他は父上にそっくりだと思っておりましたのに、何だ・・・」
 心のままに刻んだ笑顔は、道化師のそれではなくなっていた。
「何だ。な~んだ。父上も、全然、完璧じゃないや。ふふ。うふふ」
 込み上げる笑いと共に、じわじわと小さな子供の頃へと体が縮んでいくのがわかる。
「~~~父上ぇ」
「うん。アーサーや」
「~~~爺やぁ」
「はい、坊ちゃま」
 甘えたかった。
 うんと。
 心のままを思うままに投げつけて。
「父上ぇ・・・! 爺やぁ・・・!」
 不思議。
 いや、ここがもう現(うつ)し世でないことは知っている。
 だから、何が起ころうと不思議に思うことはないのだろうが・・・。
 でも、不思議。
 幼子に戻った体がまた十代の少年に返ったり、抱き寄せてくれる彼らが既にいなかった体に立ち戻ったり、呆れるほど、忙しない。
「おやまあ、まったく。こんなに素直な姿を顕にしてくれるなどと」
 再び幼子に戻って泣きじゃくる我が子をどこまでも愛しげに抱きしめて、父は親愛なる己が執事を振り返った。
「まったくもって、腹立たしい。こうまで解き放たれた我が子の姿は、スコールドによって導かれた姿とはね」
「これ、旦那様。彼はスコールドでなく・・・」
 吐息混じりに肩をすくめた爺やに、クラウンが父の腕の中から口を開いた。
「スフォールドにございます・・・」
 まさか。
 自分が訂正側に回ることになるとは。
 苦笑するしかないクラウンは妙に気恥ずかしくなり、お小言に出会った時の姿で、力一杯、父に抱きついたのだった。








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~ Comment ~

良かった…。

読みながら思わずボロッボロと涙が…。
クラウン、良かったねぇ…。お父様と爺やに本当の自分を、頑張った自分を認めてもらえて、いっぱい褒めてもらえてよかったねぇ…。
たくさんの人がクラウンのおかげで笑顔になったんだよ…頑張ったねぇ…。
お父様はきっとずっと前からクラウンの優しいところ、そういう才能を知ってたから周りにどれだけ言われても跡継ぎを外さずに信じて見守り続けてたんだよ…。亡くなったあとも立派に領地を守ってくれるって信じてたと思うよ…。

お父様も爺やもずっと心配で見守ってたんですね…。どれだけ嬉しかったんだろう。どれだけそばで見守れないことが悔しくて心配だったんだろう…。
なんだか言葉にならないです。ごめんなさい。
私の家族と思わず重ね合わせてしまって…。本当に、本当に素敵なお話でした。ありがとうございます。

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サラ様

読んでいただきありがとうございました。
そのようにおっしゃって頂けて、ありがたい限りです。
クラウンへのお言葉も感謝v

こちらこそ、コメントありがとうざいましたm(_ _)m

~様

コメントありがとうございます。
読んでいただき、嬉しく思いますv
このような駄文にお付き合いくださっているだけで感謝ですm(_ _)m
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