ラ・ヴィアン・ローズ

第5話【誘拐】

 ←第4話【暗転】 →第6話【過去】
      ―1980年―

 老婦人は一枚、また一枚と報告書をめくっていった。
 その身なり、仕草は総じて品がよい。
 しかし、鋭い眼光は老女のそれではなく、時折、ニヤリと口端を吊り上げたりもする。 
 彼女と差し向かいにソファにかけた青年は、黙ってその姿を眺めていた。
 半年に一度のこの定期報告も、もう十二冊目となる。
「相変わらず、お前の報告は客観的で簡潔だね。……しかも、今回は視点が近い分、実に愉快だよ」
「恐れ入ります」
 恭しく頭を垂れる青年に満足げに微笑んで見せた老女だったが、ふと小さく吐息をもらした。
「息子がお前のようならねぇ、私も要らぬ気をもむこともないんだが。……あるいは」
 手にしていた報告書を手の甲で軽く叩き、老婦人は続けた。
「この、高城善積という男のようだったら…ね」




 大きな襟のワンピースに長い髪。
 そして自分の上半身と変わらない大きなクマのぬいぐるみを大事そうに抱え、どこから見ても可愛らしいお嬢さんといった風体の少女は、紛れもなく朱煌であった。
 趣味ではないので質にでも入れようとしまってあった父からの誕生日プレゼントが、こんな形で活用できようとは。 
 いやはや何とも気分がいい。
 予想以上の大収穫だった。
 さぁて、これをいくらで売りつけてやろう。
 三下共では話にならないから、せめて金バッチクラスか、頭。
 早々に繋ぎを付けて、ただし、足元を見られぬように交渉そのものは時間をかけて……。
 ほくそえんだ朱煌は振り返り、そびえ立つ金のなる木・警視庁に向けて、二ヤリとして見せた。
 が、次の瞬間、目の前が真っ暗になる。
 わかったのは、首の後ろに重く鈍い痛みが走った…という事だけであった。




 まだぼんやりとする視界を鮮明にすべく、朱煌は軽く頭を振った。
 それでカツラが外されていることに気付く。
 思うように体が動かないのは、後ろ手に縛られているせいだった。
 自分が転がされているのは、畳の感触。
「よう、気付いたか、坊」
 覗きこんでいたのは、朱煌が出入りする暴力団黒牙会の構成員であった。
「お仕事ご苦労さん。ブツは確かにいただいたぜ」
 構成員はクマのぬいぐるみを、朱煌の鼻先でひらひらとさせた。
「……恥ずかしかないか。いたいけな子供の駄賃を掠め取るような真似しやがって」
「…ちったぁ、怯えて見せたらどうだ。お前はさらわれてきたんだぜ」
「いくら出す」
「なにぃ?」
「薄汚ねぇヤクザ相手に、無償で小芝居見せてやる程、懐深くないんでな…うッ…」
 構成員の蹴りがしたたか腹に食い込んで、さすがにむせ返る。
「加減したんだ、感謝しな。血でも吐かれちゃ、一滴いくらと言いかねんからな」
 体を丸めて息を整えた朱煌は、ズルズルと壁に体を預けて立ち上がった。
「お前ンとこの組長から依頼されての仕事だぜ。それを横取りなんざ、てめぇの首をしめるだけだろ」
 構成員は黙って口元に笑みをなぞらえた。
 それで朱煌は己が窮地に気付く。
「あンの…ハゲ狸…!!」
「まあ、そういうことだ。悪く思うな」
 構成員の手が朱煌の眼前に伸びる。
 ――――殺される……、あたしはもう、お兄ちゃんに会えない…?!
 凍りつくような寂寥が、恐怖をわずかばかり上回り、不覚にも涙がこぼれそうになるのを、小さな背丈に反比例するプライドが、なんとかダムとして堰き止めていた。
「もうこの辺でいいでしょう、警部殿。可哀想ですよ」
 苦笑交じりの構成員の声と共に縄がほどかれ、両の手が自由になった朱煌は、よくよく辺りを見渡して唖然とした。
ここは新藤の叔父の道場ではないか…!!
「ご苦労様。わざわざすまなかったね。では職務に戻ってくれたまえ」
 そう言って姿を見せたのは、制服姿の新藤であった。
 見るからにヤクザ風体の構成員は、ぐりぐりと朱煌の頭を撫で、新藤に規律正しい敬礼を向けてから、道場を出ていった。
 呆けていた朱煌の思考が、徐々に状況を飲み込み始める。
「て…てめぇ! 何のつもりでこんな三文芝居を仕組みやがった!!」
「やれやれ。三文芝居はお互い様でしょう」
 新藤の視線にハッとする。
 よりによって、こんなヤツにこのふりふりひらひら姿を見られるなんて……。
「実は今日、本庁で会議だったんですよ。そしたら外勤課が迷子が迷子になったと騒いでましてね。襟の大きなピンクのワンピースに長い髪、クマのぬいぐるみを大事そうに抱える、そりゃあ可愛い三歳児だそうです。それを聞いて、思い過ごしかとも思ったんですが……まったく期待を裏切らない人だな、あなたって子は」
「あ、あたしがどこで迷子になろうと、勝手だろう」
「変装までして警視庁内で迷子になるのを、勝手にさせてはおけませんよ」
 新藤は畳に転がっているクマのぬいぐるみを拾い上げ、ほつれた縫い目に手を突っ込んで、丸めた紙の束を取り出した。
「捜四の捜査資料。これを見てさっきの彼に連絡してみると、黒牙会組長が、小さな情報屋に捜査資料奪取を依頼したというじゃありませんか」
 そうか、さっきの男は、潜入内偵中のマル暴刑事……!!
「懲りない人ですね、あなたも。以前、新宿署の捜査情報漏洩の件で、あれだけこっ酷く高城さんにお仕置きされたくせに」
 ウッ…と上目遣いになった朱煌は、そろそろとお尻を擦った。
「それにね、まだ取り返しのきく捜査資料ならともかく、これはいただけない。おいたが過ぎるというものですよ」
 そう言って新藤が広げたのは、朱煌が予想外の大収穫として組長に高く売りつけようとしていた、マル暴の潜入内偵者リストであった。
「よく考えなさい。これが暴力団に渡ったら、リストに名の載る刑事たちはどうなります」
 ―――寒気がした。
 そうなれば彼らの辿る運命は、闇から闇。
 朱煌自身が先刻体験した恐怖を、彼らは最後まで味わうのだ。
「わかりましたね。私は本気で怒ってます。高城さんには黙っておいてあげますが、お仕置きは免れませんよ」
 新藤の手が伸びたのを思わず振り払い、サッと背後に回りこむ。
たった今あれだけ肝が冷えたのに、更にお尻を叩かれるなど、冗談ではない!!
 朱煌は道場の隅に立てかけられている竹刀を手に取り、新藤に向けて構えた。
「反省どころか、反撃ですか」
 ため息ひとつ。
 新藤は自分も竹刀を手にするとポケットに片手を突っ込んだ。
 朱煌の表情に怒気が閃く。
 師範の舌を巻かせることに成功し、腕に覚えのある小さな剣豪にとって、ただ竹刀を持っているだけに止まる新藤の態度に、はらわたが煮え繰り返ったのだ。
「てめぇ、あんまりあたしを………ナメるな!!!」
 下段より切り込んだ朱煌の竹刀は、確実に新藤の喉笛を捉えたはずだった。
 しかし、わずかに上体を反らしただけの彼に竹刀は掠りもしない。
 即座に体制を立て直し、第二撃。
 だが今度は動くこともしない新藤に、竹刀を掴まれてしまった。
 そのまま引っ張られよろめいた朱煌のお尻に、新藤が振り下ろした竹刀が炸裂した。
「痛―――――――いッッッ!!!」
 間髪入れず、二打目。
 朱煌は痺れを伴う鋭い痛みに、自分でも情けなく思うほどの悲鳴を上げ、ついに畳にペタンと座りこんでしまった。
 そんな朱煌を竹刀片手に小脇に抱えた新藤は、ワンピースのスカートを捲り上げ、パンツを引き下ろした。
 剥き出しとなった白いお尻には、竹刀を据えられた二本の筋が、痛々しいまでにくっきり赤く浮き上がっている。
「い、いやぁ…いやだ、それ、痛い……」
 すでに半ベソの朱煌が怯えきって訴えると、新藤は「ああ…」と呟いて竹刀を投げた。
「いくら私でも、あんなもので百叩きはしませんよ」
 心の底からホッとしそうになって、ハッとする。
 い、今のはつまり、百叩きの刑を宣告されたも同然では……?
 ―――――――バシィッッッ…・・!!!
「痛あぁ――――――いッッッ!!!」
 面積が広がっただけで、竹刀の時と変わらない強烈な痛みが、朱煌の全身を反射的に仰け反らせた。
「やッ・・め・・・痛ッ・・アッ・・・痛ぁい~~~!!」
 高城のお仕置きとは、音が違うのだ、音が。
 恐ろしいまでに容赦のない平手が、振り上げられる気配の毎に、朱煌はきゅッと目をつむり体を強張らせた。
「ほらほら。何か言うことあるでしょう」 
「痛いよ、痛い~~~ッ! もっと手加減してよぉ……うわぁ―んッッッ!!!」
「・・・手加減ねぇ。反撃前なら、考えなくもなかったんですが?」
 ビシィッッッ・・・・!!!
「ひぃッッ・・・!」
 また更に力が増した気がする。
 こんなことなら言いつけられて高城からお仕置きされたほうが、何倍もマシだったかもしれない。
「以前のお仕置きがどうも手ぬるかったようなので、今回はちょっとばかり、厳しくいきますよ」
「ど、どこが『ちょっと』だッ、この人でなし!」
 新藤の手がピタリと止まった。
 ギクリとして恐る恐る顔をねじ向けて見ると、端正な顔に艶やかな微笑が浮かんでいる。
「いやはや」
「いえ、その・・・」
「なんとも」
「なんでも・・・」
 ―――――パンッ、パンッ、パシィ――――ッッッ!!!
「―――ごッ・・・ごめんなさい、もうしないッ、もうしないからあ!」
 今までのが本当に『ちょっと』だったことをわずか3発で思い知らされた朱煌は、更に勢いのついた『ちょっと厳しいお仕置き』がきっちり百を数えるまで、ごめんなさいと叫び続けるハメになったのだった。




 剣術道場が仮住まいとなってから、そろそろ一ヶ月が経とうとしていた。
 いたく朱煌を気に入っている大師範(新藤家の当主だというから、新藤の祖父らしい)の計らいで、朱煌はほかの門下生よりはるかに優遇されていた。
 合宿の子供たちは宿舎の大部屋で寝泊りしているのに、朱煌だけは母屋の隣の離れを与えられているし、練習だって皆とではなく、大師範直々の個人練習。
 一応食事は合宿の子供たちと一緒にするが、明らかな特別待遇の朱煌を快く思わないのは当然の反応であり、友達など出来ようはずはなかった。
 友達どころか、明らかなイジメもある。
 胴着を隠されたり竹刀を折られたり……とまあ色々だが、当の朱煌が「他愛ない子供の悪戯」と流してしまうので、仕掛け人たちの方が歯軋りしている現状である。
 とはいえ、朱煌とて腑に落ちないものはある。
 つい一ヶ月前に入門したばかりで何故こうも大師範に気に入られ、特別待遇なのか。
「そもそもボケてんじゃねぇのか、あのじいさん」
 還暦の大師範は、何故だか弟子たる朱煌に馬鹿丁寧な敬語で接する。
 剣を握る朱煌を涙ぐんで眺めては「朱雀の再来」と呼び、朱煌が普段通りに振舞っていると「面差しは若様でも、内面は唄子嬢ちゃまに瓜二つ」などとのたまい感涙に咽ぶ始末。
 けれど旧家の新藤家で当主の立場は絶対らしく、朱煌への贔屓は師範も目をつむる公然たるものであった。
 
 


 師範の細君に通された離れの座敷に座した高城は、腕を組み、眉間にくっきり縦皺。
 そこへガラガラと玄関が開く音がして、小さな気配が座敷に近付いてくる。
 離れの主、朱煌のご帰還である。
 スルリと襖を開けた朱煌は、高城の姿を認めた途端、また襖を閉じた。
 咳払いひとつで再びそろそろと開いた襖越しに、朱煌はふてくされた上目遣いを投げかける。
「何で怒ってるのさ。あたし、まだ何もやってないのに」
「いいから、ここに来て座りなさい」
 おずおずと進み出た朱煌が胡座をかくと、高城は「ちゃんと」と付け加える。
 渋々正座した朱煌は、一層ふくれ面になった。
「お前ね、今何時だと思ってる」
「八時だけど?」
「八時だけど? じゃない。子供が出歩く時間か、これが」
 きょとんとした朱煌は、ようやく高城の眉間の皺の理由に気付いたようだった。
「何事かと思えば、そんなことか。だって、まだ宵の口だぜ」
 悪びれない様子に、高城はバンと畳に拳を打ちつけた。
「子供に宵の口もクソもあるかッ。こんな時間までフラフラしてて、おかしなのに絡まれたらどうする」
「平気。みんな返り討ちにしてやった……してやるから」
 慌てて言い直したのが単なる言い間違いの訂正ではないことくらい、高城でなくともわかる。
 逃げ足の速さに加えて剣術の攻撃力を身につけた朱煌と対峙した犠牲者は、高城の知らないところで日ごとその数を増していたのだ。
 朱煌という少女を把握していたはずなのに、剣術など習わせたのは自分の落ち度だと反省しつつ、大仰にため息をついた高城は、先程の母屋での師範の話を思い出していた。
 師範は朱煌を『剣鬼』……と評した。
 耳慣れない言葉に戸惑いを覚えたのだが、わからなくもない。
 飲み込みがよい、筋がよい。
 そんな言葉で片付けられないほど、短期間に強くなった朱煌。
 それは段を取るとか大会で優勝するとか、そういう種類の太刀筋ではないのだと師範は言っていた。
「床に伏していた本家の大師範までが起き出してきて、朱煌を『朱雀の再来』と呼び、夢中で稽古をつけているのだよ」
 そう師範は苦笑した。
『朱雀』とは、戦時中の大師範が仕えていた華族の主であり、日本刀一振りで敵部隊を殲滅したという若き軍神だという。
「その朱雀を彷彿とさせるらしくてね」と言った師範が、小さく呟くように「まあ、当然かな…」ともらしたのが引っかかるのだが。
「朱煌の剣は戦火にあれば英雄たれるが、この平和な時代には、危うい鬼でしかないんだ」
 あの言葉は、やはり的を射ているのだ。
 黙りこくっている高城の様子をうかがっている朱煌と目が合った。
「…とにかく、夕食後の外出は禁止」
「はぁい」
「門限は五時」
「はい」
「ゴロツキ相手に喧嘩はしない」
「はい」
「……」
 いやにしおらしく返事をする朱煌の顔を、高城はジ―ッと見つめた。
 すると徐々に徐々に、朱煌の視線が逃げていく。
「余計なお世話だ、このお節介刑事。まあ、ここは返事しておいてやり過ごすか……とか考えてるだろ」
 図星。
 ギクリと顔が強張った朱煌に、高城はやれやれと額を押さえた。
「仕事とはいえ、一週間も放っておいた俺も悪いし、今回のところは大目にみよう……と、思ってたんだがな。気が変わった」
 そう言うと、あっという間に朱煌は高城の膝の上に腹這いにされてしまった。
「やッ、ちょ、いやだよ! ちゃんと約束守るからぁ!!」
「駄目。師範に伺ったぞ。何度注意しても、夕食後の外出をやめようとしないってな。初めてここに連れてきた時、俺はなんて言った? 師範の言葉は俺の言葉と思って、よく言うこときくよう言ったろうが」
 それでも放ったらかした負い目もあって、ズボンの上からピシャリとやる。
「痛あぁ―――いッッッ!」
「何言うか。軽くぶっただけだろうが」
 続けて叩くと、朱煌はやはり大きな悲鳴を上げて、大粒の涙までこぼし始めるではないか。
 どうも本当に痛がっている様子に小首を傾げた高城は、スルリとズボンと下着をめくった。
「きゃあッ、いやいやいや――――ッ!」
「なッ……どうしたんだ、これは?!」
 今叩いた分でほんのり色づいた部分の下に、まだ腫れの引ききっていない痣と、二本の蚯蚓腫れの名残がうっすらとだが見受けられたのだ。
 もちろんそれは、新藤からのお仕置きの後である。
 もう三日経つのに、竹刀で打たれたところとお尻のほっぺのてっぺんが、何気なく座ったりすると、まだ痛いのだ。
 そこへまた軽くとはいえ高城の大きな手でぶたれて、我慢できなくなってしまった。
「これ、誰にやられた?」
 どうしよう……と朱煌は唇を噛んだ。
 誰に…を言えば、必然的に自分のおいたが高城の知れるところとなってしまう。
 しかし、さすがの朱煌もおしおき痕を誤魔化す嘘など、咄嗟には思い浮かばなかった。
「……お前、俺に何か隠してるな」
 高城の声色は、明らかに事態の悪化を予見させるもので、これはどう考えてもまずい…と朱煌に観念させた。
「……新藤にやられた」
「新藤が?」
 目を丸くした高城は、肩をすくめてそっとお尻のおしおき痕を撫でた。
「……何をやらかした、と聞きたいところだが、新藤が黙っててくれるなら、きっと俺のためでもあるだろうから、これはなかったことにしてやるよ」
 そう言われて、新藤が怒った理由の半分を、朱煌はやっと理解した。
 新宿署の情報漏洩でおしおきされたのに、場所こそ違えど同じいたずらを繰り返したと彼が知ったら、怒りもするが、やはり、悲しむだろう……。新藤が自身でおしおきしたのは、そういうことだったのだと思う。
「痛かったろ、新藤のおしおきは。あいつはいつも人畜無害な笑顔を浮かべてるが、逆鱗に触れると…怖いぞ」
「……ん、怖かった」
「そうだろうとも。俺も知り合って一年だが、その点は色々思い知らされてるからな」
 実感のこもったため息をつく高城だが、さすがにその意味を計りかねた朱煌は、違う意味で小首を傾げた。
「もっと昔からの知り合いかと思ってた」
「いや、あいつは一年前にシカゴのICPO研修から戻って、今のポストに収まったのさ。うん…?」
「あいつもシカゴから?」
 瞳子が朱煌を生み育てたのもシカゴ。
 そして日本に戻ったのも、同じく一年前……。
「なんか、縁があるみたいだな、新藤と」
「や、やめてよ、あんなエセ微笑仮面!」
「ははは、エセ微笑仮面か。いい得て名だ。……聞かないでやるからさ、もう、するんじゃないぞ」
「……ごめん、なさい……」
「ん。反省してるなら、よろしい」
 優しく頭を撫でられて、なんともはにかんだ気分になる朱煌だった。
 高城は危なっかしくて目が離せないこのいたずらっ子に、ある意味感謝していた。
 瞳子への長年の片恋の辛さを思い煩う暇もなく、ただただ穏やかな気持ちになれる日々を手に入れられたのだから・・・。
                      






  • 【第4話【暗転】】へ
  • 【第6話【過去】】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。
  • 【第4話【暗転】】へ
  • 【第6話【過去】】へ