盟友【オルガ番外編】

メイド派遣所の勤怠帳

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 貴族が使用人を持つのは当然のことであるこの国だが、近年、商売に成功した裕福な商家でも、多くの使用人を雇うことがステイタスとなっていた。
 ただ、使用人すべての生活面を面倒見きれるほどの富裕層はごく一部。
継続的に雇用するのは執事とメイド頭くらいの商家が、時折必要な数のメイドを揃えるのに重宝したのが、メイド派遣所である。
 ここのメイドたちは派遣所の寮で生活していて身元も確かな上に、寮で仕事や作法を躾けられているので、一から全て教育する必要もないからだ。
 同じ給金を支払うなら、素人を半人前に、半人前を一人前に育てる労力を省くことができる派遣制度は、商人たちに受け入れられるのも早かった。



 派遣所の寮は起床、就寝、食事、育成授業や自習時間など、定められた日課を過ごさねばならず、うら若き乙女達には窮屈な場所であるが、他に女性が就ける仕事より断然高給である。
 寮では規則を守り、要請先できちんと仕事を果たして、『あれ』に泣くことなく済むならば、良い職場と言えた。
「あぁ! ごめんなさい! ごめんなさい!」
 派遣所の玄関ホールでの決まり。
 要請先から帰った彼女らは、『講師』と呼ばれる育成指導官たちに勤怠帳を見せてからでないと、部屋には戻れないのである。
「ひぃ! あぁあ! いやぁ! もう、もう許し・・・いぃ、たぁッ、いぃい!」
 要請のあった各商家へ向かうメイド達は必ず、派遣所から渡されている勤怠帳を携えている。
 ここに要請先の責任者から就労の開始と終了時間を記入してもらうので、勤めを終えての帰り道も寄り道は出来ない。
「ごめんなさいぃ! ごめんなさいー!」
 勤怠帳には備考欄がある。
 空欄の時もあれば、お褒めの言葉を頂戴することも。
 あるいは・・・。
「身だしなみなど、基本中の基本ですよ」
 椅子に掛ける講師の膝の上に腹ばいに乗せられて、たくし上げられたスカートから覗くお尻はドロワーズもずり下げられて、赤い。
「ごめんなさいー! ごめんなさいー!」
 バチン! バチン!と音がする度に、居並ぶ講師陣の前に列を作って勤怠帳検閲待ちのメイド達は首をすくめて、つい自分のお尻をさする。
 ここにいるほとんどの者が、あれの痛みを経験済み。
 子供のように膝の上でお尻を丸出しにされることすら恥ずかしいのに、同僚たちの目に晒されて、その上、振り下ろされる平手は子供の頃に親からされたのとは大違い。
 あんな痛いお尻叩きは、ここに来て初めてだと、誰もが思うのだ。
 ここ講師達は幾人ものメイドをこうして育成してきたので、お尻を叩く要領をよく心得ているようで、白魚のような手の平であるにも関わらず、子供のように泣きじゃくってしまうほど痛い。
 ようやく膝から下ろされたメイドは、グスグスとしゃくり上げてお尻をさすっている。
 すっかり真っ赤に染まったお尻すら痛々しいのに、これでお仕置きが済むかどうかは、まだわからないのだということを、ここにいる誰もが知っている。
「さあ、宗主様の所へ参りますよ」
 要請先からの苦情を備考欄に書き込まれてお仕置きを受けた者は、必ずこうして宗主と呼ばれる派遣所のオーナーの元へ連れて行かれる。
 そこが、お仕置きの終着点。
 メイド達の間で、『審判の部屋』と呼ばれる場所であった。



「お客様のご不興を買った不束者が、講師より頂いたお仕置きを、どうぞ・・・」
 定められた文言。
 それを口にすることすら恥ずかしく思うのに、文言と共にせねばならない行為に、誰もが言い淀み、手が震える。
「ど、どうぞ・・・」
 それでも、それに抵抗してお仕置き台に括りつけられ、ケインやパドルをお尻に据えられて、ポンポンに腫れ上がったお尻を晒して廊下に就寝時間まで立たされていたメイドを見たことがあれば、それを遂行した方がマシだと思える。
 ああなりたくない。
 その思いが羞恥を上回り、宗主に向けたお尻を覆うスカートを、誰もが自ら捲くり上げるのだ。
「・・・ご検分くださいませ・・・」
 宗主はソファに悠然と身を委ねて、赤く染まったお尻を眺めていた。
「・・・真っ赤だね。どうしてお仕置きされたのだい?」
「・・・勤怠帳に、身だしなみが悪いというご指摘がございました・・・」
「身だしなみ? これはまた、稚拙な部分に指摘を受けたものだね。この派遣所の格が疑われるよ」
「申し訳ございませんでした。今後、決してこのようなことがないように・・・」
「当然だ」
 メイドは背後でした音に息を飲んだ。
 宗主が手にしていたケインをしならせたのがわかったのだ。
「お、お許し下さい!」
「大きな声を出すでない、はしたない」
 ケインの先がお尻にあてがわれて、メイドは捲っているスカートを抱きしめるように震えた。
「どんなお仕置きをされたのかね?」
「そ、それは、ぶたれて・・・」
「そうじゃない。どんな風に?」
 メイドは顔を紅潮させて唇を噛んだ。
「ひ、膝の上に・・・、腹ばいに、されて・・・、お尻を・・・、丸出しにされて・・・」
「おやおや、小さな子供みたいだね。お尻を丸出しにされて、それから?」
「講師の手で、たくさん・・・」
「たくさん? 幾つ?」
 メイドはお尻に負けないくらい赤い顔を横に振った。
「わ、わかりません。痛くて、数など・・・」
「そう」
 宗主はメイドのお尻にあてがっていたケインを、講師に向けた。
「お仕置きに幾つ叩いたのだね?」
「二十にございます」
「そう、甘いね。粗相より、身だしなみなどという基本ができていない方が、派遣先では心象が悪いものだよ。お仕置きをやり直し給え」
 引きつった声を上げてたじろいだメイドの手からスカートが離れ、隠れたお尻を宗主が睨めつける。
「君の膝の上で、先のお仕置きと同じくお尻を剥きだして・・・」
 宗主のケインの先が、今度は壁際の棚を指し示した。
「そこのパドルで、そうだね・・・百」
 その宣告にメイドが漏らした哀れな悲鳴が、ドアの向こうのメイド達を戦慄させた。



「身だしなみなどという基本中の基本は、育成授業中に学んで然るべきことだろう?」
 白かったお尻が、パドルで弾かれる度に身悶えし、ジワジワと赤く染まっていく。
「あー! あー! あぁー!」
「そんなことすら身につかない授業など、意味はないね」
「ひぃ! いだいぃ! 許し・・・あぁ! 許してくださ・・・あぁ!」
「許して? 君の教え子にはこのパドルで百叩きのお仕置きを与えたよ。君もその前に二十叩いたのだろう? 君に据えたのは、まだたったの十だよ」
 ピタピタとお尻にパドルをあてがわれて、講師は喉を鳴らした。
 それ即ち、この痛みをまだ百と十も味合わされるということ。
「いやぁ・・・いやあぁ・・・あ! い、痛いぃ・・・」
「ほら、声を上げない。君の教え子はまだ子供だから、泣いても許してやっているけれど、君は立場が違うだろう?」
 ソファに膝をつき、背もたれにしがみつくようにしていた講師は、唇を噛み締めてこぼれそうになる悲鳴を飲み込んだ。
 刹那、したたか据えられたパドルに、背中を仰け反らせた講師。
「~~~!」
「そう。我慢しなさい。教え子たちのように泣き喚いたら、お仕置きは終わらないからね」
 乾いた音がお尻で響く度に、たくし上げられたスカートとずろ下げられたドロワーズの狭間で剥き出しとなっているお尻がうねる。
「またお尻が逃げた」
「~! ~! ~!」
「お尻を逃がした罰は、後からお膝でパドルだよ。お仕置きが我慢出来ない子供に似合いだろう?」
「い、いやぁ! 許して!」
「声」
 一際きつく振り下ろされたパドルに我慢など出来ようはずない講師は、ソファから離した手で口を覆って呻いた。
「・・・手。誰がソファから離して良いと言った?」
「ち、違・・・、声を、声を堪えようとぉ・・・」
「言い訳」
 一瞬青ざめた講師の顔は、すぐに唸るパドルの鋭い痛みに真っ赤に蒸気した。
「~~~いだいーーー!!」
「声。同じことを幾度も言わせて、子供かね、君は。ほらぁ、手」
 痛みから逃れたい一心で今度はお尻を覆うように回った両手に、宗主が眉をひそめる。
「もう・・・お願いです・・・、もう許して・・・」
「まだようやく二十だよ」
 教え子であるメイド達には決して見せられない、歪みきった泣きべそを宗主に向けて、講師は年の頃に見合った熟した尻をソファに埋めて、幾度も幾度も首を横に振った。
「いやぁ! 今から百も堪えられません!」
 目標を失ったパドルを弄んでいた宗主が、呆れ果てたように肩をすくめた。
「誰が残り百叩きと言ったかね?」
「・・・え?」
 恐る恐る顔を上げた講師が、宗主の笑みに表情を強ばらせる。
「悪い子だね。誤魔化せると思っていた? 教え子のメイドたちが君に受けたお仕置きの数は、躾が至らなかった君がそのまま受ける。それがわかっているから、君はお仕置きの手を抜いたのだろう?」
「~~~」
 ニッコリと微笑んだ宗主は、ソファに背中を張り付ける講師の腕を掴んでソファから引きずり下ろした。
「粗相より基本がなっていない方が、心象が悪いと言っただろう?」
 引きずられて行く先には、固定ベルトが垂れ下がるお仕置き台。
「身だしなみの指摘など、最低でも平手で五十はお仕置きしないと駄目だろう? そうしていれば、私はあのメイドに追加のお仕置きは課さなかったし、君へのお仕置きもそれで済ませたよ」
「いや! そこは嫌! 嫌ぁああぁあ!」
 抗う講師の体をお仕置き台のベルトで固定していきながら、宗主はため息混じりに肩をすくめた。
「人に教えを説く者に、大人しくお仕置きを受ける姿勢を教えねばならんとはね。これはたっぷりと時間をかけねばならんな」
「いやあ! いやぁ! いやあーーー!」
「安心おし。廊下に立たせるのだけは、勘弁してあげるよ。でないと、君の講師としての権威が失墜してしまうからね」
 腰と足の付け根を、革のベルトで締め上げられて、下腹部にはお尻が突き上がるように敷かれたクッション。
「あのメイドには、一週間の補習授業を命じたよね。では君も一週間、お仕置き補習してあげよう」
「~~~ひっ・・・」
 顔色を失った講師の顔を覗き込み、宗主は口端に優美な笑みを揺蕩わせた。
「一週間、毎日お仕置きなら、加減しなくてはね。ケインは、最終日としよう」
 逃げ惑うように左右に振られるお尻に、ヒンヤリとしたパドルがあてがわれた。
「いやぁ・・・! いやぁああああ!!」
 メイド達が持ち帰る勤怠帳。
 それは、メイドを教育する側の勤怠帳でもあった。



「てなメイド派遣所があるそうだよ」
「それはまた、興味深いねぇ」
「・・・仕置き館にマナー教室、今度はメイド派遣所か。君も色々考えるねぇ」
 じっと見つめてくる盟友から顔を背けて書類に目を通していた公爵は、肩をすくめた。
「はて。何のことやら」




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~ Comment ~

NoTitle

 こ・・これは!?
メイドへのお仕置きもいいですが、講師の成熟したお尻へのお仕置きは、またさらにイイですねぇ。
 若い子達はともかく、こういう成熟した大人の女性が、お尻ペンペンされ、ワンワン泣き叫ぶ・・本当に素晴らしいです!!
 って、考えたのはワイラー卿ですか!?さすが!!ワイラー様!!是非ぜひ、もっともっと、大人の女性達が熟尻を真っ赤にするような企画をお願いします!!
 まぁ、それは冗談として、これからも、こうした、大人の女性が、厳しくお仕置きされて、熟した素敵なお尻を真っ赤にするお話、バンバン見たいです!!

ワイラーあなたか!(笑)

ついに…ついに作者様がオルガシリーズだけじゃあきたらず厳しいお仕置きに手を出し始めた!?と思っていたらあなたでしたかワイラー卿www
またクラウンに怒られますよwwwww
すでにばれてるみたいですけどw
いつもとはまた違った感じで楽しく読ませていただきました!
これからも楽しみに待っております!

最高

仕置き館もそうですがお仕置きするものがお仕置きされる側に落ちるのは素晴らしいですね。

御礼

山田主水さま>

お気に召していただけたなら幸いです(^^)
ワイラーが考えそうなことをと書いていたら、こうなりました
(;^_^A
しばらく女性のを書いていなかったので、猛烈に書きたくなって。。。
キャラ設定はないまま書き進めて参ろうかと存じます。

コメントありがとうございましたv

サラさま>

クラウンには今度こそ邪魔(?)されないように、ワイラー頑張りますよ
( ̄ー ̄)ニヤリ
あの手この手で趣味を極めたいワイラーさんでございます。

コメントありがとうございましたv

スパ男爵さま>

基本的にこういう展開が好きな作者です。
気に入っていただけたなら嬉しいですv

コメントありがとうございましたv

拍コメさま>

久々に女性のを書けて楽しかったですv
読んでくださりありがとうございます。

コメントありがとうございましたv
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