フォスター家【オルガ番外編】

登場人物紹介 第四弾【スフォールド】

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当初はScoldingの予定だったのですが、長い名前は極力避けたいのでScoldになりました。


【ロイ・スフォールド】

クラウンから「スコールド(小言や)」と姓をいじられる執事です。
作中、さほど口うるさくないように思います。(書いてるアンタが言うな)
いや、部下にいちいちクドクド言ってたら、お姑さんみたいじゃん。。。

家畜や作物など、生き物に囲まれて育ってきたモートンと真逆で
木々も少ない炭鉱町で荒くれ炭鉱夫達に囲まれて育ち、幼い頃から石炭掘りや運搬などの手伝いに駆り出されていたので、気性は激しめ。腕っ節は強いです。

下男見習いで就職した先で、同年代の小姓とケンカしてはボコり、親方や先輩下男にバッチバチにお仕置きを食らっていた模様。

幼い頃から労働は当然だったので働きは良く、気が利いて、小姓や従僕の必須条件である(小姓も従僕も、貴族のアクセサリーだったそうです)整った顔立ちだったこともあり、出世していきますが。。。
 
出来過ぎ近侍や従僕として主の信頼を得る一方でその家の執事に疎まれて、解雇されること三回。
最後の一回など、紹介状すら書いてもらえなかったので、就職先が見つからないままでした。
これはもう故郷の炭鉱町で鉱夫に再就職するしかないな~と、帰郷のための路銀稼ぎの為にいた酒場で、退学直後のクラウンと出会います。
で、彼の爺やにお目付け役として採用されて以来、ずっとフォスター伯爵家に仕えてきました。

高齢の父を、まだ十九になったばかりで亡くしてしまったクラウンが当主となり、必然的にスフォールドはフォスター伯爵家の執事(使用人最高責任者)となります。

こうなってからも、彼がクラウンの兄貴分的存在なのは変わらず。
が、クラウンが本気を出した時は、徹底的にそれに従います。

自慢は、主人と弟子を『拾った』審美眼らしいです。

クラウンの寝酒に付き合って、友人として話したり。
モートンの個室にワインを持って押しかけて話したり。
酒は好きみたいですね。
仕事中は使用人たちの前でポーカーフェイスを通していますが
使用人フロアや休憩室では進んで会話して楽しそうに笑うので
部下たちも怖いけれど彼が好きみたい。
快活に喋るスフォールドと、その隣で黙って穏やかに微笑んでいるモートンという図が
スフォールドが家令時代は使用人ホールの名物でした。
ONとOFFがハッキリしているスフォールドです。

作中にて、ファビオが孫かもしれない説、出ました。

ま、フォスター伯爵家(ローランド公爵家含む)で、最強の男。


「スコールド! スコールド!」
動揺丸出しで顔色を変えて、使用人ホールに飛び込んできたクラウンに、各自の一仕事を済ませて朝食をとってくつろいでいた使用人たちが固まる。
「・・・スフォールドにございます。大旦那様、如何なさいましたか?」
 スフォールドは頭痛を覚えるこめかみを揉みほぐすと、使用人の前であるし、どうにか笑顔を作ってクラウンを『丁寧に』使用人フロアから追い出して、人目のないことを確認してから思い切りお尻をひとつ引っ叩いた。
「痛い!」
「使用人フロアに立ち入ってはいけませんと、申し上げておりましょう」
「嘘つき! もうお尻ぺんぺんしないって言ったくせに!」
「ぺんぺんはしておりません。ぺんです」
「擬音の数の問題!? あ! 違う! スコールド! 典医を呼んでぇ!」
「? どうなさいました」
「ファビオ、声も掠れて話しにくそうなんだ。風邪かも・・・」
 例のアレである。
 身内どころか、使用人の風邪すら心配で動揺して混乱しての大騒ぎ。



「御足労頂きまして、申し訳ございませんでした、御典医」
 廊下まで老典医を送り出し、恐縮気味に深々と頭を垂れるモートンに、彼は苦笑気味に潜ったドアを見た。
「いや、良いのだけどね、別に。珍しいね、いつもは防波堤になるスフォールドまで、大旦那様と一緒になって・・・」
「はは・・・、ちと諸事情がございまして。スフォールドには後できつく言って聞かせますので、ご容赦をば」
「いやいや。このお屋敷は、他家と違ってご当主一家だけでなく使用人にまで私を呼んでくれるから、むしろ誇りに思うよ。しかしまあ・・・」
 この老典医はモートンがこの屋敷に勤め始める以前から在中している医師である。
 つまり、彼らの若い頃からを良く知る人物の一人だ。
「スフォールドに指導を受けていた君が、『きつく言い聞かせる』までになったとはねぇ。わしも年をとるはずだ」
「いえいえ。私など、まだまだあの方の手の平の上にございますれば」
「面白いお屋敷に勤められて、わしも寿命が延びるというものだね。では『お大事に』」
 エッチラオッチラと遠ざかっていく典医を最敬礼で見送り、モートンは「さて」と呟いた。



 ベッドに横たわるファビオの傍らで、目を潤ませて跪いているクラウンと、沈痛な面持ちでその傍に控えているスフォールドに、部屋に戻ったモートンが咳払いをした。
「お二方。ファビオの病名ですが・・・」
 ゴクリと息を飲む二人と、頭からシーツを被ったファビオの対比で、馬鹿馬鹿しくなる。
「これはですね、『声変わりで掠れる声を大旦那様が風邪と思い込んで騒ぐのをこれ幸いと、学校を堂々と休める口実ができたとほくそ笑む病』と言う名の、大病にございます」
「・・・え」
「声・・・変わり?」
 クラウンとスフォールドの視線を受けて、シーツの下がますます丸まる。
「と、いう訳で、これより『治療』に移りたく存じますので、お二方はご退場願いますでしょうか」
 ビクンと跳ねたシーツ。
「・・・スフォールド、『治療』は私がしても、よろしゅうございますね?」
 クラウンの鳴らす狂想曲にものの見事に乗って踊っていた自分を思い返し、スフォールドは頬を赤らめてクラウンの腕を掴んだ。
「一々、私に聞かずともよかろう」
「そうですか? では、遠慮なく」
 クラウンを引きずるようにして部屋を出たスフォールドは、紅潮する顔を両手で覆った。
「え? 何? どうしたの? モートンてば、含み有りありのこと言っていたけれど、あの子、あんな物言いする子だっけ?」
 『リタ』の娘と、その息子。
 それを知らないクラウンに、返答のしようがない。
「や、やだ、勘弁してください! やーーー! 痛い! 痛い! モートン、許して!」
「だーめ。声変わりだと、自分でわかっていただろう。今日はうんときつぅいお仕置きだからね。覚悟しなさい」
 おそらくは丸出しにひん剥かれたお尻を引っ叩く音が、ドア越しに聞こえてくる。
「ぅえーーーん! 痛いよぉ!」
「大旦那様やスフォールドに正直に言っていれば、痛くならずに済んだだろうね」
「ごめんなさい! モートン、ごめんなさいぃい!」
「人様の善意につけこんでズルをする子は、たっぷりお仕置きだ。ということで、よろしいですね、スフォールド」
 ドアの外で聞いているのは、お見通しらしい。
 スフォールドはクシャクシャと髪をかき回して天井を仰いだ。
「えぇい! この有能弟子が! いちいち聞くでないわ!」
「え? 何? スコールド、何なの?」
 これがいつものスフォールドでないことを、クラウンが察知するのは容易なこと。
「~~~私はスフォールドです!」



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