FC2ブログ

【オルガ完結章】遠まわりな愛

第二話 遠回しな愛

 ←【仕置き館現代版】お仕置きロボットのこと。 →遠回しな愛のこと。

 
 国王陛下の命(めい)とは言え、フォスターとその父、通称クラウンに宮廷に置き去りにされたヴォルフは、帰路の車中で少々ご機嫌斜めであった。
 フォスターとて、先に帰りたかったわけではない。
 むしろ、帰ったら待ち構える自分の運命を思い、帰りたくなどなかったのだが、そうなった経緯もフォスターの気持ちも知る由のないヴォルフである。
 すっかり仏頂面のヴォルフをミラー越しに見て、運転席のスフォールドは肩をすくめた。
「セドリック様、ムクれない。お屋敷にお帰りになれば旦那様はいらっしゃるのですから」
「~~~だって! このところ、フォスターは屋敷じゃ忙しそうで、あまり相手にしてくれない。出仕の行き帰りが、ちゃんと話せる時間なのに」
 本当に、親を恋しがる小さな子供だなと思いつつ、スフォールドは苦笑を漏らす。
「仕方ございませんでしょう? 旦那様は今、来春の婚儀に向けてのご準備や打ち合わせでお忙しいのですから」
 ますます膨れ面となったヴォルフは、シートにズルズルと背中を沈めて、いつもならフォスターが座っているはずの席に置いた包みを眺めた。
「せっかく、フォスターが喜ぶかと思って、控えの間のクリームパフを包んでもらってきたのに・・・」
 スフォールドは危うくハンドル操作を誤るところだった。
 何を大事そうに抱えて車に戻って来たかと思えば。
 フォスターの気を引きたい一心の可愛らしさに、思わず顔がほころんでしまった。
 子供だ。
 まったくもって、子供。
 癇癪は起こすし、ちょっと目を離すと悪さをするし、オルガやファビオ、使用人達にも意地悪して喜んだりするし、かまって欲しくて、仕方のない小さな子供。



 庭園でしゃがんで土を掘り返しているクラウンを、ワイラーが苦笑いで眺めていた。
「公爵ともあろう方が、土いじりなどと。下男にでも任せれば良いだろうに」
「いたずら小僧の親の責任を果たしているのだよ~。本当なら本人にやらせるところだけど、まだモートンにコッテリと絞られているみたいだし」
 クラウンはもう片方の手の平に乗せていた蛙を、穴の中にそっと置いて布団代わりの土を掛ける。
「改めてごめんね、うちの子が悪さして」
「・・・それは蛙と私、どちらに言っている?」
「どっちにも」
「私と蛙を並べて物を言うのは、あなたくらいだ」
 肩をすくめるワイラーに、クラウンが手を払いながらクスクスと笑った。
「本当に帰っちゃうのかい? お詫びに夕食を一緒にと思っていたのだけど」
「いや、帰るよ。お仕置きの原因が同席していては、フォスターも食事が不味かろう」
「お気遣いどうも。さて、車まで送るよ」
 玄関前に横付けされたワイラー家の車まで歩くと、ちょうど、ヴォルフを乗せた車が入ってくるところだった。
 スフォールドが開いたドアから姿を見せたヴォルフの、お冠なご様子が見て取れる。
「ただいま戻りました。ワイラー卿もお越しだったのですか? 良いですね、私だけ宮廷に置き去りで、お三方は何をなさっていたのやら」
 クラウンとワイラーは、顔を見合わせて苦笑した。
 彼の保護者の名誉の為にも、ここは沈黙が金。
「さて、私はそろそろ失礼するよ」
 自分の車に歩を進めたワイラーに、ヴォルフが最敬礼の姿勢を取った。
 下位として当然なのだが、控えていたスフォールドの目が鋭く光って、ワイラーの足元に転がり落ちた包みを素早く拾い上げた。
「スフォールド? 何?」
「いえ。お気をつけてお帰りくださいませ。またのお越しをお待ちしております」
 首を傾げたワイラーが車に乗り込むと、スフォールドが深々と頭を垂れる。
 車が走り去ると同時に駆け出したヴォルフの外套を、クラウンが掴んだ。
「お父様! 離してください!」
「セドリック様!」
 スフォールドの一喝に、ヴォルフが首をすくめて離してくれそうもないクラウンを盾にすべく背後に張り付いた。
 グイと拾われた包みを突きつけられて、ヴォルフがますますしょぼくれてクラウンの背中にしがみつく。
「なるほど。クリームパフを踏んづければ、ワイラー卿はさぞ盛大に尻餅をつかれるでしょうなぁ」
 クラウンは吐息をついて宙を仰ぐと、頬を掻いた。
 どうしてこう、うちの子達は揃いも揃って、ワイラーに悪さを仕掛けるのだろう・・・。
「これは旦那様にと持ち帰ったお土産でございましょう? それを仲間はずれにされた悔し紛れに悪さの道具に使うなど」
 フォスターを取り上げられたのが、そんなに悔しかったか。
 そういえば、屋敷にいるとむっつりしている侯爵様は、宮廷出仕の間はご機嫌だ。
 最近、やたらとオルガに意地悪して泣かすのも、ファビオに当たり散らしてスフォールドの勘気を被るのも、フォスターが婚儀に向けて忙しいのが原因かと思い至る。
 一緒にいたいばかりに走り出した車から飛び降りた一件もあるし、ファビオから聞き及んだ蟄居の間の癇癪の件も。
 じりじりと詰め寄ってくるスフォールドに、クラウンがヒラヒラと手を振った。
「お前は良いよ、スコールド。そろそろ春だし」
「え、いや、しかし・・・私は大旦那様の時に十分と・・・」
「いいじゃないか。その分、モートンを助けてあげてね」
「・・・恐れ入ります」
 二人の会話の意味がわからないヴォルフは、どうやら庇ってくれたらしいクラウンを見上げて目を輝かせていたが、直後に彼の肩に担ぎ上げられてしまい、目を丸くした。
「お、お父様!?」
「食べ物を粗末にするいたずらは、きつぅいお仕置きだよ、ヴォルフ?」



 いつもニコニコと微笑みを絶やさないだけに真顔になったクラウンは、静かながら人を射竦める威圧感を持っている。
 故に、お仕置きと聞けば逃げ出すヴォルフも、蛇に睨まれた蛙。
 念の為、廊下側のドアの前で控えてはいるが、漏れ聞こえてくるお説教にしみじみと感じ入って、スフォールドは目を瞑る。
 あのやんちゃ小僧だったクラウンが、成長したものだ。
 もともと、出来るはずのことを道化師の仮面に覆い隠していただけの彼だが、その仮面を外すことを厭わなくなった。
 ある一点を除いては・・・だが。
「スフォールド、父上はいらっしゃるかい?」
 その声に目を向けると、『アーサー坊ちゃま』が立っていて、目をこする。
 色んな昔を思い起こしていたので錯覚でも起こしたかと思ったが、いつものように後ろに組んだ手の甲が、お尻をさすっているのが原因だったかと、苦笑。
「はい、ご在室でいらっしゃいますよ。何を仕出かされたのです、旦那様? モートンに叱られたのでございましょう」
 頬を赤らめて小さく俯いたフォスターに、スフォールドが苦笑を浮かべた。
 こちらも随分と立派に成長はしたが、まだまだ若い。
「ちょっと色々あっただけだ。父上にも謝罪せねばならんから来た。ドアを」
「ああ、申し訳ございません。大旦那様は只今、取り込み中で・・・」
 フォスターが問うまでもなく、ドアの向こうから聞こえてきたヴォルフの泣き声で事情は判明する。
「ヴォルフ? 父上にまでお仕置きされるなど、あの子は何を仕出かしたのだ」
「ワイラー卿に少々おいたを。未遂ではございましたが、旦那様がお仕置きを買って出られたので」
「・・・ワイラーに? それで、父上が?」
 おや?・・・と、スフォールドが首を傾げた。
 フォスターが見る見る不機嫌な色で表情を染めていったのだ。
「ふーん。ああ、そう。なら、もういい」
 フイとそっぽを向くようにして踵を返したフォスターが遠ざかっていく後ろ姿を、スフォールドは唖然として見送っていた。



 一昨日は乗馬、昨日は港に釣り。今日は凧揚げらしい。
 開いた窓からヒラヒラと舞う凧が見える。
「ほら、ヴォルフ、糸を持ってごらん」
「無理です! やったことなどありません!」
「できるってば。ほら、お父様も持っていてあげるから」
 父の楽しそうな声が庭園から聞こえた。
 舞い上がる凧に、ヴォルフの弾けるような笑い声。
 それを微笑ましく眺めているスフォールドの姿。
 それを自室の窓から眺めながら、フォスターはモートンが注いだお茶をすすった。
「旦那様、席次のご確認は以上でよろしゅうございますね」
「・・・うん」
「正餐の給仕は、ペリドット家のご親類筋の執事殿と従僕、そして大奥様のお国元より、侍従の方々がお手伝いに来ていただけます」
「・・・うん」
 窓辺で心ここにあらずのフォスターに、モートンが苦笑した。
「今日のところは、この辺りで終わりましょう。お庭に行かれては?」
「・・・いい。誘われていないし」
 モートンの苦笑が深まる。
「それはこの打ち合わせを、大旦那様がご考慮なさってくれているからにございましょう?」
「良い! 私は父上など嫌いだ!」
 開いた窓から見えていたヒラヒラと舞う凧が、落ちていく。
 開いた窓から響いた声に、こちらを見上げる目。
 開いた窓から父の悲しげな顔が見えて、フォスターは思わずカーテンを閉じた。



「旦那様!!」
 ノックもそこそこに部屋に飛び込んできたスフォールドは、床に座り込んで、モートンに担ぎ上げられまいと必死の抵抗を見せる子供のようなフォスターを見るなり、毒気を抜かれてしまった。
 溜息混じりにフォスターの前に屈んだスフォールドは、唇を噛み締めて俯いている彼の頭を撫でた。
「これ、アーサー様? お父上がショックでお部屋に籠られてしまいましたよ。すぐに行っておあげなさい」
「~~~ヴォルフが行けばいい・・・」
 スフォールドはモートンと顔を見合わせて苦笑を浮かべた。
 先日からやけにクラウンによそよそしいので、まさかとは思っていたが・・・。
「先程の失言は、お父上がセドリック様ばかりかまうことへのヤキモチでしたか」
「そんなんじゃない!」
 そうとしか見えないが・・・と思いつつ、スフォールドはモートンに目配せした。
 隙を突かれてモートンに脇を抱え上げられ、ソファに座らされてしまったフォスターは、自分の前に膝をついて真っ直ぐに見据えてくるスフォールドから顔を背ける。
「モートン、アーサー様を諭すのは君の仕事だが、君も自分のことが絡んでいるから言い出しにくかろう。越権行為をさせてもらうよ」
 そっぽを向いていたフォスターだが、モートンが頷いたのが気配でわかった。
 それに、「自分のことが絡んでいる」という言葉が気になって、目がついスフォールドを流し見てしまう。
「アーサー様。セドリック様はあの通り、あなたを大変慕っておられる。あなたのご結婚を、確かに心から祝福もしている。けれど、物理的に離されることすら、まだ上手く処理できない不安定さをお持ちなのは、ご理解されていますね?」
 フォスターはしばらく黙っていたが、やがて、コクリと頷いた。
「さて、ここで最初の難関です。ご結婚後はあなた自身が諭していけますが、ご婚儀の後に控えている新婚旅行、これはどうしましょう?」
 あ・・・と、フォスターが小さく呟いた。
「一ヶ月は、お屋敷を留守になさいますよね? その寂しさでセドリック様がどのような行動に出られるか、ご想像がつきますでしょう?」
 癇癪を起こして、手がつけられなくなることだろう。
「でも・・・スフォールド、お前がいる。何だかんだと言って、ヴォルフはお前が好きだ。本気で叱ってくれるから、懐いている」
 スフォールドが肩をすくめた。
「はい。私もあの方が大好きですから、どんな癇癪も受け止めてやろうと覚悟を決めていたのですがね。大旦那様・・・お父上は私にまで、休暇を下さろうと奮闘してくださっているのですよ」
「・・・休暇?」
「主人の新婚旅行。これは執事が唯一、長期休暇を取れる期間でございましょう?」
 ふとフォスターがモートンを見上げ、その視線に苦笑を返されて俯く。
 それを見て首を傾げたスフォールドに、モートンが黙って顔を横に振った。
「普通はお屋敷にお世話する主人は一人。ですが、こちらにはセドリック様がいらっしゃいます。その間だけ、セドリック様のご領地に帰っていただく? そのようなこと、アーサー様は望まれませんよね」
「・・・当然だ」
 慕うフォスターから引き離され、自分を見てくれない両親の元に行かせるなど、あまりに酷。
「ですから、お父上は少しでもセドリック様の気持ちを自分に向けさせて、新婚旅行中に私とモートンに休暇を。あなたに気兼ねのない旅を楽しんでもらおうとなさっていたのです」
「~~~でも! ・・・父上は、ワイラーへのイタズラに、私のことはワイラーに任せたくせに、ヴォルフには自分で・・・!」
 スフォールドが困ったような笑みを口元になぞらえて、フォスターの両頬に手を添えた。
「お小さかったから、覚えておられないかもしれませんんが・・・、昔、お父上に叱られて、『お尻ぺんするお父様、嫌い』とおっしゃったのですよ、アーサー様が」
 まるで覚えていない。けれど。
「父上には領地の城で、ケインでぶたれた!」
「うんとたくさん?」
「~~~・・・三つ・・・」
 これは近しい記憶なので覚えている。
 でもそれは、モートンが止めてくれたからで・・・。
「モートンが止めてくれたのでしょう? 前夜から、しつこいくらい打ち合わせをさせられたものな、モートン?」
 フォスターが目を瞬いてモートンを振り返ったので、彼はそれに苦笑で答えた。
「お父上はまたあなたに『嫌い』と言われるのが怖くて、本当はケインで脅すだけで済ませたかったのですよ。けれど、あれは一人の少女の人生が掛かっていて、あなたが大切になさっている親友と引き離されないように躾ける必要に駆られて・・・」
 あの期間の彼の姿を見せてやりたいと、つくづく思うスフォールドである。
 二人きりになると、『悪者』を演じる自分に嘆いては、「アーシャに嫌われたらどうしよう」と泣き言の嵐。
「さて、アーサー様。そろそろ、お父上のところへ行って差し上げてくださいませんか? あの方は私の大切な方で、泣いて欲しくないのですよ」



 二人の執事に付き添われて、父の部屋へ。
 ノックに答えた父は、少し涙声だった。
 ドアを開けたスフォールドがそっと人差し指を口に当てたので、黙って部屋に入ったフォスターは、ロッキングチェアをゆらゆらさせながら窓の外をぼんやりと見つめている父の横顔に、ドキリと胸を押さえた。
「スコールドぉ、アーシャに嫌われちゃったよ。僕さぁ、やっぱり駄目だね。遠回しにしかできなくて・・・言葉で説明してあげないとわかんないって、思ってはいるんだけどさぁ・・・正面から真っ直ぐって、苦手」
「・・・仕方ないさ、それがお前だろう、クラウン(道化師)。アーサー様は、必ずわかってくださる方だ。お前に似て、とても良い子」
 フォスターは目を丸くする。
 初めて見た、父とその執事の二人きりの会話。
「ワイラー卿に悪さした時、彼にお仕置きを任せたのに、セドリック様にはお前がお仕置きしたって、拗ねていたぞ」
「~~~だってヴォルフは、叱ってくれるのは見捨てないからでしょって言うんだ。フォスターに、そう教えてもらったって。でも、アーシャはお尻ぺんするお父様は嫌いって・・・」
 揺れるロッキングチェアの傍らに跪いたスフォールドの苦笑に、聞いていたフォスターの耳朶が赤く染まる。
「クラウン、いつまで三歳児の戯言に惑わされている? そのセドリックに、叱るのは見捨てないことと教えたのは、お前の息子だろう? ごらん、その三歳児は、そう人に説けるほど、立派に成長しているよ」
 スフォールドが指し示した場所に立っていたフォスターは、トンとモートンに背中を押されて、振り返って顔を紅潮させている父の元に駆け寄った。
「父上、ごめんなさい、嫌いなんて嘘です! 私は父上が大好きです!」
 スフォールドが空けた場所に膝をついて見上げてくる息子を見たクラウンの頬に、ハタハタと涙がこぼれる。
「アーシャぁ・・・ホント? 本当に、お父様のこと、嫌いじゃない?」
「無論です! でなければ、同じようにワイラーに悪さして叱られたヴォルフに、ヤキモチなど、妬いて、あんな、ことを、言ってしまったりは・・・」
 どうにも照れくさそうに口の中でもごもごと言うフォスターに、クラウンが満面の泣き笑いを浮かべて、彼を抱きしめるべくロッキングチェアを降りた。
「・・・良かった。良かったぁ・・・」
 いつものおふざけのようなハグでなく、とても力強く抱きしめられて、フォスターの顔の紅潮は増すばかりだった。



 こうして、めでたしめでたしと幕を閉じるはずだった親子劇場に、スフォールドが投じた一石。
「嫌です! ヤダ・・・、痛い! 痛い! 父上なんか嫌いだ!」
 ピシャリピシャリと平手を振り下ろすクラウンは、ニコリと笑みを浮かべて膝の上で暴れる息子を見下ろした。
「そう言えば、お父様がお尻ぺんぺんをやめると思った? 残念。もうそっちは信じないよぉ。だって、大好きだと言ってくれたもの」
「そっちが嘘です! こんなお仕置きする父上なんか、嫌いだ!」
「違うでしょ~。モートンに甘えてばかりで、ごめんなさいでしょぉ?」
 パン! とまた振り下ろされた平手に、フォスターの背中が反り返る。
「アーシャ、ヤキモチを妬いてもヴォルフにはちゃんといつも通り接して、臆病なあの子が傷つかないようにしていたね、お前はとても良い子。お前をそんな良い子に育ててくれたモートンに、感謝」
 父の膝の上で丸出しにひん剥かれたお尻を真っ赤に染めてもがく主人を、モートンが深い苦笑で見つめていた。
 フォスターを諭していた際のスフォールドに、交わした視線を見抜かれてしまったのだ。
 実を言うと、主人に新婚旅行に随行して欲しいと頼まれていた。
 海外でも妻をスマートにエスコートしたいから、その相談役に・・・と。
「平素! 世話を! してもらっている! 執事に! どこまで! 甘えるつもり!? 悪い子だ!」
 区切った言葉の数だけ叩かれて、フォスターは必死で首を横に振った。
「ですからぁ! 四六時中の供などとは考えておりませなんだ! 旅先で休息をとぉ! 痛いです! 痛い痛い痛い! 父上、こんな子供みたいなお仕置きは嫌ですーーー!」
「仕方ないでしょう、お前が子供なのだから。お前が傍にいれば、モートンは当然、通常通りにするでしょう? 起床の声掛けをして、下着から何から着せて、風呂に入れば体を拭って。モートンはいつ休むの?」
「~~~」
「大事な執事を困らせる大きな甘えん坊は、お父様がうんとお尻をぺんぺんしなきゃね」
「~~~スコールドの馬鹿! 父上に言いつけることないだろう!」
 ツンとそっぽを向いたスフォールドに歯ぎしりしたフォスターは、一際強く振り下ろされた平手に手をばたつかせた。
「痛いーーー!」
「そんなこと言う子じゃ、お尻ぺんぺんは終わらないぞ、アーシャ?」
「~~~こ、こんなお仕置きする父上なんか嫌いです!」
「はい、信じません」
 ニッコリと微笑んだ父に首をねじ向けたフォスターは、涙目で振り上がった彼の腕を確認して、ぎゅっと固く目をつむった。
「痛いぃいーーー!」


  • 【【仕置き館現代版】お仕置きロボットのこと。】へ
  • 【遠回しな愛のこと。】へ
  • Tag List 
  •  * |

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。
  • 【【仕置き館現代版】お仕置きロボットのこと。】へ
  • 【遠回しな愛のこと。】へ