仕置き館

【現代版仕置き館】お仕置きロボット

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「ゆるじでぇえぇええ! ひだいぃぃいい! ぼううるじでぇえぇぇえ! ごべんだだいぃぃい! ぼういあぁあ! ごべんだだいぃいいい!」
 恐らくだが、「許して、痛い、もう許して、ごめんなさい、もう嫌、ごめんなさい」
 そう叫んでいるのだと思う。
 泣き過ぎて鼻水も垂れ、もはやまともな言葉になっていないのだろう。
「認識デキマセン。ゴメンナサイガナイノデ、オ仕置キヲ続行シマス」
「言っでまずぅ! いっで・・・ひぃああぁあ! いだいぃい~~~! ゆずじでぇえ! ごべんだだあぁいぃぃーーー!」
「悪イ子ガ言ウベキ言葉ハ、『ゴメンナサイ、モウシマセン』デス。チットモ言エナイノハ、反省シテイナイ悪イ子ダ」
「言っでうぅ!! ごべんだだいーーー!」
「認識デキマセン。三分経過。反省ナシト判定」
「ひ・・・! いやあ! いやあ! ゆずじでぇぇえ! めぐらないでぇ!」
 『手』が捲り上げようとするタイトスカートを両手で押さえ、必死の抵抗を見せる。
「手ヲ、ドケナサイ」
「いやあ!」
「抵抗アリ。ペナルティ。カウントリセットシマス」
「ひっ・・・!!」
 いつもの所長からは想像もつかない情けない顔は、更に絶望に歪んだ。
 顔は涙と鼻水でボロボロ。
『手』が、彼女のスカートのウエストに滑り込む。
「あ・・・っ!」
 『手』が力を込めるとホックとファスナーが容易く壊れ、薄布とは言え多少の防御壁だったスカートは、引き下ろされてしまった。
 その摩擦に巻き込まれた下着が、無情にも彼女の丸い双丘を滑り落ちて、三分間、間断なく振り下ろされた『手』によって、赤く染まったお尻が丸見えだ。
 恥ずかしさにバタつく太ももの白さが、ますますそのお尻の赤さを強調して、妖艶ですらある。
「カウントゼロ。カウント開始シマス」
「ひぁあぁああ! びぇえぇぇぇん! いやあー! いやあぁー!」
 必死で逃げ惑うお尻は腰をガッチリと抱え込む『手』に、振り下ろされる『手』の射程圏内から逃れられない。
「ごべんだだいぃい!」
「認識デキマセン」
「ごべんだだいぃい!」
「認識デキマセン。反省デキナイ悪イ子ハ、オ仕置キデス」
「いやぁあ! はんぜいしでまづぅ! ほんどでずぅ! いだいぃ! ぼうゆずじでぇ!」
「認識デキマセン」
「ぅう、ぅう・・・ぅ・・・ぅああぁぁぁーーーん!!」
 お仕置き用人型ロボットの膝の上で腹ばいにされて、びぃびぃと子供のように泣きじゃくる研究所所長の姿を、実験室のガラス越しでデスクに頬杖をついて眺めていた助手の貝塚は、彼女の真っ赤なお尻に溜息をついた。
「・・・水無月所長。だから、四角四面のプログラムはやめた方が良いと言ったでしょう」
 実験室内に聞こえるようにマイクに向かって言うと、水無月がお尻と変わらないくらい真っ赤な顔を彼のいるコントロールルームに向けた。
「がいぃ! でいじじで! ずばんぐをでいじじでぇええええ!」
 恐らくだが、「カイ、停止して。スパンクを停止して」と言っている。
「・・・・・・認識できません。館長に自らの体験レポートを提出するよう言われたでしょう? そもそも、このプログラミングをしたのはあなたですし」
 貝塚はそれだけ言って、マイクの電源を切った。
「がい! がいぃ! いやぁ! だずげでぇ! いだいよお! いだいぃぃいい!」
 お仕置き用に開発された人型ロボット『スパンク』。
 過去、とある欧州の国で設立された婦女子更生施設、通称『仕置き館』は、現代のこの国にも設立されていた。
 仕置き館の通称の伝統通り、収容者はお尻に戒めを課せられる場所である。
 怠惰な世相を反映して加速度的に収容人数が増大する中、監督者側の不足を補う為に導入された生活管理の機械化の導入。
 健康管理、規則正しい生活の管理、収容中の学習の管理。職業訓練の管理。
「館長、いっそお仕置きは完全機械化してしまえば良いのです」
 仕置き館館長にそう進言したのは、システム関連の研究所長、水無月だった。
「・・・お仕置きを?」
「そうです。あれこそ、人手を割くにもっとも無駄な労力。痛みを与えておけばいいなら、ロボットで十分でしょう?」
「水無月所長。道具でのお仕置きは、仕置人の打ち損ないや力加減のムラを無くす為にも機械化を了承しました。けれど、仕置き館の基本である人の手によるお仕置きを排除することはできません」
 館長の静かな返答に、水無月が口端に笑みを湛えた。
「ですから、館長がこだわっておられる膝で平手のお仕置きを、再現してご覧にいれますわ」
 水無月の隣に掛けて会議に参加していた助手の貝塚は、やれやれと溜息をついた。
 この仕置き館の運営を援助する財団の費用は、研究者には確かに魅力的だ。
 湯水のように金を使って、作りたいものを作れる。
「平手の機械化、ねぇ・・・。貝塚、あなたはどう思う?」
 館長に投げかけられた質問に、彼は肩をすくめた。
「良いのではないですか? より人間に近い動きができる『手』。実現が叶えば、義手などの医療にも転用できる技術となります」
「・・・そう。そうね。では、水無月所長。許可します」
 貝塚は少し驚いた。
 道具を振る仕置人それぞれの力加減のムラまで考える館長が、痛みを与えれば良いと考える研究所長の提案に乗るとは、思わなかった。



 その日から、『手』の開発が始まる。
 おおよそのことは、これまで進歩を続けてきたロボット工学技術でわかってはいる。
 加えて、水無月は若いが各分野で実績を認められた優秀な科学者だ。
 潤沢な資金の元、『手』の開発は着々と進んでいた。
「各関節部分も、滑らかな動きになってきましたね」
 人間と同じ数だけの関節。
 金属で作られた『指』『手のひら』『手首』『前腕』『肘』『上腕』『肩』の骨組み。
「より人骨に近い柔軟性をもった金属だもの」
「あの素材開発だけで、いくら掛かったか・・・」
「ふふ、仕置き館主宰の財力様さまね」
 思い通りの研究ができることに、水無月はご満悦の様子だ。
「あれを更に人間のような滑らかな動きで腕を振らせるには、胸や背中が必要になってくるの。人工筋肉を連動させていかないと、どうしても動きが単調になるのよね」
「はは・・・。一体、いくら掛かることやら」
「ま、ロケットよりは高くつくかもね」
「・・・神様は、とんでもなく精巧な仕事をなさったものだ」
「やぁね、カイ。科学者が神様なんて持ち出さないでよ」
 ヒラヒラと手を振って水無月は一笑すると、ガラスの向こうの実験室で腕を上下に振り続ける骨組みを眺めた。
「半年後にはプロトタイプが仕上がるわ。カイ、館長に被検体の選出を要請しておいて」




「ひぁあ! いだいぃ! いだぃ! いやぁあ! ごべんなざいーーー!」
「認識デキマセン」
 繰り返される無情な音声。
 じわじわと真っ赤に腫れ上がっていく衣服からはみ出したお尻を眺めて、貝塚は肩をすくめた。
「ほら、水無月所長。あなたがプログラムしたんでしょう。『スパンク』を止めるワード」
 再びマイクから声を掛けると、水無月は涙でボロボロになった顔を彼に向けて、すっかり髪が乱れた頭を振った。
「言っでるぅ! ずっど、言っでるぅ!」
「スパンクが認識できるように。はい、「ごめんなさい、もうしません」。言って」
「~~~ごめんなさい! いっ、いだい! もうしませんーーー!」
「認識デキマセン」
 間に「痛い」という言葉が入ったことで、スパンクはまた無情な音声を繰り返した。
「ああ、惜しい。言葉は明瞭だったのですがねぇ」
「ひっ、ひどいぃい! カ、あぁ! カイ! あだたには、ぎこえだ・・・いだいぃ! いだいよぉ! なら! ぎんぎゅうでいじぼだ・・・ひぃ! おじ、おじでぇ!!」
 恐らく。「ひどい、カイ。あなたには聞こえたなら、緊急停止ボタンを押して」
「・・・お仕置きに人手を割く労力の無駄を省くのでしょう? 緊急停止ボタンを押す人間を配置していたら、無意味じゃないですか。その配置人員が、スパンクの代わりにお仕置きすれば済むのですから」
「~~~そ、そうだげどぉお! ひぃ! びぇえぇぇーーーん! いだいぃ!」
 水無月の開発した『手』がお尻を叩く音は、実に見事だ。
 パン! パン! ピシャン! と、まさに人の手が素肌のお尻を打つ音。
 金属製の骨格に施した人工皮膚は、手のひらの部分だけ打撃の衝撃に耐えうるようにラバー素材を混ぜ込んである。
 音は近しいが、痛みは人の手よりきつかろう。
 あの『手』を止める為のワードを入力したのは水無月である。
「館長のお望みはこれでしょう? 『ごめんなさい、もうしません』。はい、入力完了」
「・・・そんな単純なワードで良いのですか? もう少し、幅を持たせた方が・・・」
 貝塚は一応、忠告したのだ。
「ごめん、なさい! もっ、しま、せん!」
「認識デキマセン」
「ぅう・・・、ごべんな、ざい! もうじまぜん~~~!」
「認識デキマセン」
 だから言ったのに・・・。
 貝塚は溜め息をついてコントロールパネルに頬杖をついた。
 お尻を叩かれながら、入力ワードのようにサラサラと明瞭に「ごめんなさい、もうしません」と言える者など一握りいるかいないか。
 言葉が途切れるか、間に悲鳴が入るか、涙と鼻水が邪魔して不明瞭な言葉になるか。
「あらあら・・・。水無月は勉学好きで、スキップでどんどん学位を収めた優秀な子供だったと聞いていたから、こんなことだと思ったわ」
 貝塚の隣で水無月の『体験』を眺めていた館長が、肩をすくめた。
「親御さんも、自慢の娘だったでしょうからね。お尻を叩かれて叱られたことなど、ないでしょうね」
「だろうね。でなけりゃ、お仕置きなど痛ければ良いなどと、言うはずもない。しかしまあ、それを懲らしめる為だけに、私は随分と散財させられたよ、館長?」
「あら。ですから会議の席で意見をうかがいましたでしょう、貝塚主宰?」
 ニッコリと微笑んだ館長に、貝塚は苦笑した。
「三分経過。十五分のインターバルヲ開始シマス」
 その音声に、館長が目を瞬いた。
「まあ、厳しいこと。このプログラムは主宰が?」
「違うよ、水無月だ。彼女は医学にも精通しているからね。一定の痛みを超えたら、痛覚が麻痺することを知っている。その痛覚を引き戻す時間を設定していたよ」
「・・・お気の毒なこと」
 膝を模したスパンクの仕置き台で、水無月がぐすぐすと泣き濡れているのが見える。
 赤く腫れたお尻に両手を回して、一生懸命さすっている姿は確かに気の毒だった。
「おや、足掻くか」
 スパンクが機動停止中の十五分の間に、どうにか膝から抜け出そうともがき始めた水無月を見て、苦笑。
「ま、無理だろうな。彼女の上着は、磁力ベストだし」
「磁力ベスト?」
「そう。お仕置き中にスパンクの膝から抜け出そうとして、振り下ろされる『手』が背中や頭に当たっては危険だからね。腹ばい姿勢から動けないように着用させるベスト。ベストのファスナーは背中だからね、脱げないよ」
「それも水無月?」
「いや、これは私」
「一見お優しい配慮のようですが、インアターバル中にも抜け出せないとなると手厳しい措置ですねぇ」
「よく言うよ。スパンクをファラリスの牡牛にしたくせに」
 館長がニコリと微笑んで、スパンクをしげしげと眺めた。
「貝塚主宰がおっしゃったように、水無月が開発した『手』や『腕』の精密さは医療転用に期待が持てそうですわね。あれほど滑らかな動作をするロボットを、見たことがありません」
「うん。外科手術ロボとしても、役立ちそうだ」
「あのプロトタイプのスパンクは、仕置き館に残していただけます?」
 貝塚は目を瞬いて館長を見上げた。
「ここで使う気か?」
「はい。収容者でなく、監督官側に」
「・・・・・・ああ」
 得心いったように、貝塚は頷いた。
 昨今、急増する収容者に加えて、問題視されるのは管理感側の人手不足だけでなく、その質の低下。
「かつて某国でその名を知られた仕置き館のマザー達に、遠く及ばない職業監督官。水無月然り、お仕置きにお尻を叩けば良いとするだけの職員が増えました。それを鏡に写し取ったようなスパンクのお仕置きを、監督官にと思いまして」
「・・・・・・許可しよう」
「ありがとうございます。ただ、あれは厳しすぎますから。停止ワードのプログラムは変更をお願いしますね」
「もちろん。もっとワードに幅を持たせるさ」
 ブン・・・と、起動音が聞こえた。
 膝を模した仕置き台の上ですすり泣いていた水無月が、ビクンとスパンクに顔をねじ向けた。
「や、いや、いやぁ、いやぁあ!」
「インターバル終了。オ仕置キヲ再開シマス」
「いやぁ! もうやめてぇ! 痛いのいやぁ! ごめんなさいぃ! もうしませんー!」
「認識デキマセン。『ゴメンナサイ、モウシマセン』ト言エナイ悪イ子は、オ仕置キデス」
 だから。
 君がプログラムしたのだ。
 語尾を伸ばしたら、スパンクには認識できない。
 貝塚は苦笑混じりに停止ボタンに指を添えた。
「言ったじゃない! バカロボット! アンタなんか解体してやるわ!」
 ・・・停止スイッチに添えた指を離す。
 キレてどうする。
 どうして自分がこんな目に合っているのか、十五分もあった時間の中で考えなかったのか。
「ひっ! 痛いぃ! いだいー! ひだいー! ごめ、な、さ・・・ああ! い~~~!」
「認識デキマセン」
 腕を組んだ貝塚に、館長が苦笑いを浮かべる。
「止めてあげないのですか?」
「インターバル後の平手打ちの強度は、私が調整し直している」
「ああ・・・。なら、大丈夫でしょうね。では、私はそろそろ失礼します。水無月に、明日の正午までにレポート提出をと伝えてください」
「ふふ、館長殿は厳しいねぇ。あのお尻で椅子に座れるかな」
「寝転がって書いても、怒りはしませんわ。では・・・」
 丁寧なお辞儀にヒラヒラと手を振って、貝塚は再びガラスの向こうで泣きじゃくっている水無月を見た。
「いだいよぉ! ごべんだざいー! ぼうゆずしでぇえええぇぇえ!」
「相手がスパンクロボでなきゃ、とっくに終わっていたでしょうねぇ」
「あぁあ! ガイーーー! ガイーーー! だずけでぇえぇえええ!!」
「収容者に同じことをしようとしたのでしょう? 彼女らが言えると思ってプログラムしたのでしょう? 停止ワードをどうぞ」
「言っでるぅ! ごべんだざいーーー! いだいぃーーー! ごべんなざいーーー!」
「認識デキマセン」
「ぅわあぁあーーーん!」
 あーあ。
 もはや、ただひたすらに子供のように泣きじゃくるだけの水無月。
 振り下ろされる『手』から逃げ惑うように振られる真っ赤なお尻を眺めて、貝塚はとうとう停止ボタンを押した。
 スパンクには、お仕置き後の相手を抱きしめて慰めたり、お尻を撫でさすって労わったりする機能はない。
 実験室のドアを開け、磁力ベストを脱がせてスパンクの膝から水無月を下ろしてやった貝塚は、床にうつ伏せてお尻をさすりながら泣いている水無月を抱きかかえてやった。
「水無月所長、少しは反省しましたか?」
「し、したぁ・・・。スパンク、音声認識システムに不具合があるぅ・・・改良するぅ・・・」
「~~~違う」
 頭痛を覚えた貝塚は、思わずさすっていた水無月の真っ赤なお尻にピシャリと平手を振り下ろしていた。



おわり


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~ Comment ~

NoTitle

 今回は現代編ですか~。
自分が作ったロボットにたっぷりとお仕置きされる・・。
コレはコレで萌えますね!!泣き叫ぶ水無月所長がとってもカワイイです!!
 機会があったら、ぜひまた水無月所長がペンペンされる姿が見たいです!!

山田主水さま

はい、現代編にございます。
気に入っていただけたなら嬉しいです♪

水無月は私もまた書きたいキャラなので、今度は対人間で考えてみます。
コメントありがとうございました。

あ、こちらで何ですが、あけましておめでとうございますm(_ _)m

NoTitle

 こちらこそ、あけましておめでとうございます。
是非是非、水無月所長のお話、楽しみにしてます~!!

素晴らしい

今更ですが良いですねこの小説。
機械の一切手加減のない容赦のなさが好きです。
今回の復讐で貝塚をこのマシーンの餌食にして辱しめたり、結局水無月がもう一度餌食になったり色々妄想します。

まいさま

コメントありがとうございます(^-^)

たまにこういうのが書きたくなるので、また読んで頂ければ嬉しいです。

その妄想、良いですねーvv
面白い展開になりそうですo(^▽^)o
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