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【  2017年07月  】 

第二十八話 切り札の使い方

【オルガ完結章】遠まわりな愛

2017.07.30 (Sun)

「おい、コリンズ! どこ行ってやがった! 勝手に持ち場を離れるんじゃねぇよ!」 戻った途端に先輩記者にどやされて、コリンズはガリガリと頭を掻いた。「人助けっすよ、人助け。ギャンギャン言わないでください。考え事してんですから」 フォスター伯爵家の庭師という男を、このローランド公爵邸前で拾って送り届けた時、どうにも引っかかることに遭遇したのだ。 彼を背負ってフォスター邸にたどり着いた時、正門が開いて一...

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第二十七話 離散の日々

【オルガ完結章】遠まわりな愛

2017.07.28 (Fri)

 貧しい青年グループの薪作りというのは、そこかしこで掻き集めてきた廃材や木箱を解体して、釜戸にくべるのに手頃な大きさにしていく作業のことを差す。 釜戸と言っても、元々組まれていたレンガは風化して形を成していないので、拾ってきた一斗缶に空気孔を開けた物がその代わり。 オブシディアンは鉄梃や鋸で木箱を解体しながら、不機嫌満面でヴォルフを睨んだ。 先程から、赤毛の兄貴に言いつけられた仕事をせっせとこなし...

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第二十六話 書面の上の金銭

【オルガ完結章】遠まわりな愛

2017.07.23 (Sun)

 ヴォルフ領へ帰領の際はいつもファビオが車で駅まで送り、切符の手配をして、積み込み荷物をポーターに依頼したりと忙しい。 旅客ご当人様はその間、ステッキ片手に退屈そうにホームをプラプラしたり、一等車両客専用の待合室で読書や書き物をしたりと、優雅に過ごしているのが常。 そもそも、自分で財布を持ったこともないヴォルフである。 欲しい物があれば出入りの商人があれやこれやと選択範囲のだだっ広い品揃えで駆けつ...

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第二十五話 懐中時計の場所

【オルガ完結章】遠まわりな愛

2017.07.16 (Sun)

 切符の手配。車。見送り。 その全てをヴォルフは拒否した。「フォスター卿。もう、私の世話を焼いてくれずとも結構だ」 執務室の窓から眺めていると、トランクを一つぶら下げたヴォルフが玄関ポーチから出てくる姿が見える。 いくら眺めていても、こちらを振り返ろうともしない。 フォスターは両手の平で顔をこすった。「私はヴォルフの一番の理解者だと思っていた。・・・とんだ驕りだったよ」 モートンに差し出されたお茶...

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第二十四話 侯爵様の旅立ち

【オルガ完結章】遠まわりな愛

2017.07.12 (Wed)

 宮廷での議会は年におよそ百五十日程である。 逆に貴族たちが各々の領地の(最も代表的な収穫祭を基準に、漁業で発展する領地の豊漁祭も、工業で発展した領地の工業祭も初秋から晩秋前までに行われる)行事ごとで王都を留守にする時期には、余程のことがない限り議会はしばしの閉会。 つまり三ヶ月程の期間、常会はないことになるので、残りの九ヶ月で約百五十日。 その中で年度末が最も多く開かれ、年間で実地された公共事業...

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第二十三話 お小言の背信

【オルガ完結章】遠まわりな愛

2017.07.06 (Thu)

 ひとしきり声を上げて泣いたスフォールドは、その後、ぼんやりと天井を仰いでいた。 どれくらいそうしていただろうか。 その間、モートンは一言も声を掛けずにただ静かに傍らに跪いていたので、ファビオもそれに倣った。 それからスフォールドは不意に立ち上がって、水瓶から洗面器へと水を汲み始める。 同じく立ち上がったモートンが、棚からタオルを取り出して彼の傍らに立つと、顔を洗ったスフォールドへそれを差し出した...

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第二十二話 侯爵と伯爵の距離

【オルガ完結章】遠まわりな愛

2017.07.05 (Wed)

 宮廷内はローランド公爵が爵位を返上したという話題で持ちきりであった。 易々と最高位を手放し、尚且つその領土は王太子領と改められるとの内示に、貴族たちは色めき立つ。 跡継ぎが立派に育っていながら貴族ならば誰もが羨む公爵位を返上した者など、この国の歴史上類を見ない。「妬み、嫉み、呆気。憶測の飛び交う宮廷内は、今やゴシップ誌そのものだな」 宮廷の資料室で互いの案件の為の政務資料を漁っていると、ヴォルフ...

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第二十一話 お小言の洗礼

【オルガ完結章】遠まわりな愛

2017.07.03 (Mon)

「急遽決定のローランド領行き随行が、主人の絶対命令だからと言えば良いのに」 駅へと向かう車の中から、トボトボとフォスター邸へと戻っていく項垂れ気味のファビオの姿を見止め、クラウンが苦笑した。「何もあんな言い方で追い返さなくても良いのじゃないかね、可哀想に」 助手席のスフォールドもまた、チラと車が追い抜いていくファビオの悄気た顔を見遣ったが、すぐに正面を向き直る。「良いのですよ。あの子もまもなく十七...

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